ちょっと悲しげな顔して、普段キラと輝いてる翡翠の瞳は何かを耐えてるそうで、心の底の思いを簡単に口にはしない東條希は、いつもなら暖かい笑顔でスピリチュアルやな~とかわいい後輩たちのやりとりを眺めながら軽い口調で言うのに、いまじゃそんな余裕が全く見えない。ただぼんやりと、黄色に染められた枯葉を見詰めている。

 

希はあまり弱いところを人に見せず、何でも自分で飲み込む癖がある。それを重々承知している絵里はちょっと考えてから知らないふりをして誘いを振った。何かがあったと知ってるけど言わない、それが三年間ずっと一緒にいる二人の間の暗黙の了解である。

 

しかし希には言ったことないが、絵里は彼女がいつも他の人のことを優先し、自分に関わると妙に話題を逸らすという習慣について正直にとても気に食わない。まるで希は自分のことを信じていないとばかりのようで、時にはイラついてる。

 

もっと周りを頼ればいいのに、ちょっと拗ねてるように希を見つめると、どうしたん?と相手に何もないような口調で微笑みながらそう問いかけられた。

 

「……いいえ、何でもないわ。」

 

再び流し始めた空気、さっきの深刻な顔がまるで嘘だったみたい。

 

あなたは一体何を考え、何を望んでいるのでしょうか。

 

聞いちゃいけない質問であること絵里はなんとなく分かってるが、それでもどうしようもなく聞きたい。

 

絵里の視線を感じ、希はふっと右手の人差し指を自分のぷりっとする唇に当てて、「女の子はたまーに、ミステリー感を保ったほうがええよ。」

 

また意味も分からずことを言い出した。

 

「……そう、かしら。」それを賛成できず、けれど反論も出せなないまま、絵里は溜息をついて聞くのをやめました。

 

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